移住労働者の命を脅かす、「出入国管理及び難民認定法」の改悪案にNOを!

下町ユニオンニュース 2021年5月号より

 日本政府は、今の国会に「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改悪案を提出し、現在審議中です。
 今回の改悪案は、対象になる外国人に対して重大な人権侵害を引き起こすだけでなく、支援を行う市民団体・労働団体の活動にも深刻な影響を与えかねないものです。

 第一に、今回の改悪案では、難民申請を3回以上行っている外国人について、退去強制をできるようにする内容が含まれています。日本の難民認定率はたった0・4%で、「世界でも類を見ない極めて少ない認定数」と指摘されています。母国に帰されれば弾圧を受け命の危険がある方でも、難民として認定されない現実があり、難民申請を繰り返している方も少なくありません。今回の改悪案は、そうした人を強引に帰国させることを可能にしてしまいます。
 第二に、退去強制を拒否する外国人に対して、「強制送還拒否罪」を新設し、懲役刑も含む刑事罰を課すとしています。様々な事情で帰国できない外国人に対して、刑事罰の脅しをかけて強引に帰国させようというのです。
 第三に、入管施設への収容に替わる制度として、「監理措置制度」を新設するとしています。監理措置の対象となる外国人は、入管施設での収容を一時的に解かれることになりますが、その対象となるかどうかは入管当局の判断次第なので不透明です。しかもこの制度では、入管当局が指定した監理人(身元引受人となる弁護士や支援者など)が、入管当局に対してその外国人の生活状況などを報告する義務を課しています(報告を怠ると罰則があります)。当事者と支援者との信頼関係を破壊し、支援者を入管当局の下請けにするようなひどい内容です。
さらに、今回の改悪案では、在留特別許可制度の対象を厳しく限定する内容も盛り込まれています。

 このように今回の法案は、難民申請者を含む移住労働者を追い出しやすくし、抵抗する者には刑事罰を課し、支援者を入管当局の下請け化しようとする、排除・締め付け強化の方向性が露骨に出ている悪法です。日本が加入している難民条約などの国際人権基準にも違反しており、国連の人権問題の専門家からも懸念の声が出ています。

 現在、移住者と連帯する全国ネットワークを中心に、市民団体・労働組合・法律家団体などが、国会前で『入管法改悪反対 緊急シットイン』の活動に取り組んでいます(写真参照)。 

入管法改悪反対シットイン

この改悪を止めるために、多くの方の参加をお願いいたします。
(A 江東・東京安全センター分会)