安全とは ー羽田空港事故に思うことー

 1月2日に起きた羽田空港での日本航空機と海上保安庁機の衝突時の火災映像を驚愕の思いで見ていた。その後報道された様々な事柄も含めて思うことは結局、現場の人間こそが安全について有効な改善を提案できるし、それは様々な立場の人々による共同作業でもあると言うことだ。

 今回の事故について現場の労働者が指摘していることを見ると原因はたった一つではなく、いくつもの要因が組み合わさって起きてしまう、現場からすると、《事故に至るいつもの道》、だった。

 問題なのはそれらについて現場の実態から一つ一つ改善していく制度的仕組みがいまだ出来ていないという事だ。

 今回、この事故の報道だけでなく、次の組織の声明、見解やコメントも読み、動画も視聴した。

●《JAL被解雇者労働組合(JHU)》。
●《国土交通労働組合》(管制官が所属)。
●《客室乗務員連絡会(客常連)》(航空労組連絡会=35組合7千人加盟=内の職種横断組織)。
●《航空連合》(57組合4万4千人が加盟)。
●《航空安全推進連絡会議(航空安全会議)》(事故が相次いだ1966年に公務・民間を超えた航空関係労働組合で結成)。

 それらの中には具体的な指摘も多数あったが、根本的問題として以下の指摘に頷いた。

①日本では航空機事故が発生した場合、警察が事故原因を特定することを目的として捜査し、運輸安全委員会の事故調査結果も刑事捜査や裁判証拠に利用されることがある。犯人捜しでなく再発防止のための事故調査、民間航空条約(ICAO)に沿った国際標準の安全体制にする必要がある。

②発着枠が、大幅に増加しているのに、管制官の定員は増えず、滑走路進入の危険は繰り返し指摘されてきた。管制官の新規増員をすべきだ。

③現場の労働者が不安全要素を指摘するには自由にものが言える職場が必要だ。

④客室乗務員は職業分類では「接客・給仕の職業」とされている。保安要員として位置付けるべきだ。

 30年前、1994年に日本航空が経営再編策として、客室乗務員に「時給千三百円のアルバイト」を導入するという計画を発表し自民党所属の運輸大臣がそれは「安全上問題があり認めない」と発言したことを思い出した。その時も、客室乗務員を航空法の航空従事者として位置付けるべきだという要求が出されていたのだ。

 かつて私は貨物列車の車掌という仕事をしていたことがある。「安全は輸送業務の最大の使命である」、と始まる「安全確保の綱領」を今でも忘れない。また、当時の国鉄の貨物輸送に携わる立場から、日本に於いて、エネルギー効率や利便性、働く者の立場なども含んで「もっとも合理的な輸送手段とは何か」という事も考えたことがある。しかし、結局、それは、誰かが勝手に決められることではなく、様々な立場の人が話し合って新しいものとして作り上げていく過程でしか成立しない、と気づいた。そのような話し合っていく場所こそが必要とされるものだ。というのが一つの結論だった。

 《安全》とは、単に《事故》の反対語ではない。心の平安、環境や健康を保ち、戦争を起こさせないこと、すべての人の生活の中で実現すべき《目標》なのではないか。それは、「株価の上昇」というような手で掴むことのできない「仕事」ではなく具体的な人と物に関わる《仕事》の中で、互いへの気遣いによって作られる《信頼》の別名に違いない。

 私たちはそのような活動の主体としてこそ日々を暮らしたいと思う。

                (ビルメンユニオン Y・I)

 参考 《JAL被解雇者労働組合TV》 第21回青空チャンネル