《 レナウン 》 嘱託社員雇止め! 交渉中です!

下町ユニオンニュース2020年6月号より
㈱レナウン
 4月24日、Aさんから「今さっき上司から5月末で雇用契約終了と言われた」と相談電話が入った。
 気が動転して理由も聞けなかった。後日、上司に聞くと「ご時世だから」と言われた。Aさんは改めて雇止めの理由を確認するために人事に面談を求めた。人事からは人員整理ではなく能力が問題とされた。
Aさんはパタンナーの嘱託社員で一年契約、5月末で丸2年になる。パタンナーとしては30年のキャリアがありレナウンの仕事では大きなミスも無く特に注意もなくやってきた。会社は昨年末に業績不振で希望退職を募ったりしたが、今年4月にAさんと同じ部署にパタンナーが二人採用され緊急事態宣言で自宅待機となっていた。
 新人を採用取り消しにすると損害賠償のリスクが大きいがAさんを雇用期間満了ならばまだ2年なので訴訟リスクは低いというような判断が働いたのではないかと推測された。
 2年間働いてきたAさんを雇止めにして能力的には未知数の新人を残すというは全く納得がいかなかった。しかも社内の貸付制度を返済使いAさんは娘の高校入学金として50万円を借りていた。一年で返済することになっているが退職した場合は残金を全額返済しないといけないとう契約になっている。そうなれば給料2ヶ月分が相殺されて収入がゼロになり生活が成り立たない。Aさんは途方に暮れてユニオン事務所を訪ねた。
 人事にAさんの雇止め撤回と団体交渉の電話をした。人事は団交日程を調整して連絡すると返答した。その直後にレナウンが民事再生となったというニュースがネットやTVで流れた。人事からメールで自分たちもマスコミ発表の20分前に社長から聞かされた。こうした事態になったので少し連絡を待ってほしいと連絡があった。
 5月25日、第一回団交が東京ビッグサイトにある本社会議室で行われた。人事から民事再生中なので管財人の確認が必要ということで管財人と同じ弁護士事務所の弁護士が管財人代理として出席した。弁護士からは財務状況、資金繰りも厳しいので雇止めが無効になるとは考えていないので撤回は出来ないと予想通りの回答をしてきた。そして雇用継続されている社員には給料6割支給、退職した人も6割だが残りの4割については立替払い制度を使うことを考えていると答えた。
 Aさんが借りたお金はどうなるのかと問うと一括して支払ってもらいたいと答えた。
 Aさんは給料が6割で相殺されればマイナスになってしまう。娘の高校を続けられるのかと考えている、家のローンは待ってくれない、このままでは家を失うと泣いて窮状を訴えた。
 そもそもコロナ以前から業績は不振であり経営責任を社員に一方的に押し付けるのはどういうことか、労基法で規定されているように給料は全額直接払いが原則であり借金の相殺は認められない、立替払いも申請して実際に払われるのは3ヶ月くらい先になってしまう、そもそも破産と違って民事再生は事業を継続しているので優先債権である給料は支払うべきだとユニオンから強く主張した。
 管財人代理の血も涙もない回答に強く抗議して再検討させ次回団交ということになった。
 会社の経営責任をわきに置いて、一方的に労働者に付けを回すことは許されない。Aさんの生活を守るためにも経営責任を厳しく追及していく。