大会宣言

(下町ユニオンニュース 2023年9月号より) 

1998年9月15日、東京東部地域ユニオン協議会(通称下町ユニオン)が、江戸川・江東・すみだの各ユニオンを基盤として結成されてから25年。三つの地域ユニオンと、その間に結成されてきたビルメンユニオン、ケアワーカーズユニオン、外国人労働者分会を支部とする単一の労働組合・下町ユニオンが本第26回大会の規約改正承認を経て、ここに誕生しました。

 介護保険のスタートに合わせ、ヘルパー交流会から始まったケアワーカーズユニオンの結成、職場では少人数でも専門職であり、仲間と繋がれると試験会場への宣伝等から仲間を増やしていったビルメンユニオン、ブラジル人への大量解雇争議をきっかけに地域や教会での相談活動に取り組んできた外国人分会の活動と、この25年の歩みには様々な歴史と築いてきた地平があります。また、ビルに泊まり込んでの細山争議をはじめ、数多くの抗議行動や争議には協議会の仲間が駆けつけ、協力して解決してきました。

 2009年には、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの事務局を引き受け、全国のユニオンの仲間との連携や首都圏のユニオンの争議解決、最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会の連絡先になる等、力量以上に役割を果たしてきた25年であることを共有したいと思います。

  そのうえで、これから労働組合として統一した下町ユニオンが、なにを実現していくのか、せねばならないのかを組合員全員で確認せねばなりません。

 今、非正規雇用は約4割となり、フルタイムで働いても年収250万円、女性に至っては170万円以下であり、この物価高と光熱費高騰の中で命を削るような生活を強いられています。この30年間日本では賃金がほぼ上がらず、すでに韓国はじめ欧米諸国が1.6倍から2倍となっている中、大企業はコロナ禍後さらに利益を積み上げています。

 先日「世界幸福度ランキング」が発表されましたが、日本は「先進国」では最低の47位、理由として「他者への寛容」「自己評価」が低いことがあげられました。ジェンダー指数125位、女性の自死は7135人に上り、3年連続で増加し、小中高生は514人と過去最多になっていることからも、生き辛さを抱えている実態が一層深刻になっています。増加する職場でのハラスメント、安心、安全に働くことすらも蔑ろにされている今、労働者の生存権、生活権を守るため、ユニオンを広げ、組合員を増やしていくことは大きな課題です。

 コロナ禍の相談会でも明らかになったのは、「職場にも家庭にも居場所がない」「誰も相談できる人がなく孤独」など、若年層から高齢者まで孤立している実態でした。「ひとりじゃない」「一緒に考える仲間がいる」という繋がりのできる「居場所」であり、ハラスメントのない安心して安全に働ける職場を勝ち取っていくための地域の労働組合、下町ユニオンとして様々な取り組みを開始していこうと、組合員のみなさんに呼び掛けます。

 25年の蓄積の上に、今日からスタートする新たな下町ユニオンを一人ひとりの力で大きく育てていきましょう!

2023年7月30日 下町ユニオン第26回定期大会