年越し支援・コロナ被害相談村

下町ユニオンニュース 2022年2月号より 

前年に引き続き、この年末年始も12月31日、1月1日の二日間、新宿・大久保公園で「相談村」が開設され、下町ユニオンからも、のべ21人がスタッフとして参加しました。

 受付、相談者の誘導、相談を待つ方への暖かい飲みものやお菓子を配りながらの応対、相談員、周辺でのチラシ配布、買い出し、設営・撤収作業など、参加した組合員のなかまは、寒風吹く中、それぞれ役割を担っていただきました。ほんとうにごくろうさまでした。 

取り組みとしては、労働組合が、上部団体の枠を超えて、弁護士、反貧困・困窮者支援の市民運動団体とも広く共同して、コロナ災害の被災者支援に取り組んだこと。相談の現場から、自治体や国の窓口対応、政策・制度の問題点を明らかにしながら改善させていくこと。そういった意義を再確認することができました。

 相談会場を訪れた方たちの現実からは、「自助」「自己責任」の強制を止めさせ公的支援を強化していくこと。雇用・労働・生活を破壊し、貧困を増大させる新自由主義的政策に歯止めをかけ、転換させていくことの重要性が浮き彫りになりました。 

相談会は二日間でしたが、100名近い相談者とは自治体窓口への同行をはじめアフターフォローが続いています。

 3月中下旬に、報告会開催を国会議員が参加しやすい院内集会として計画されています。                           

ボランティア参加して

■今回は元旦のみ、ボランティアに参加しました。初めてだった一昨年はメインの入口担当でしたが、今回はサブの入口の受付だったので、対応する人数は少なかったです。

男性が怖くて中に入れない高齢の女性を、女性ブースに案内できた時は、参加していて良かったと感じました。酔った男性が怒鳴りこんで来た時も驚きましたが、昨年の経験もあるため冷静でいられました。

ただ、昨年のコロナ相談村からもう一年以上も経過しているのに、困窮する人への支援策が国から十分にされていない事は問題です。

このボランティア活動がまだ広く認知されていない事実もあります。困窮する人の存在を知らない、知ろうとしない人も多いのです。

海外のように、日本ももっと社会全体が、支援策と感染対策を考えるべきだと感じました。       (大学2年S・I)

■僕の仲間、昨日の俺や、沢山やって来た。

会場に助けを求めて来た人は一日約200人ぐらいだったろうか?いろんな人がいた。

その中に相談の順番を待ちながら涙を流しこらえていた女性もいた。私が案内した人だ。弁護士を指名していた。どうしたのか?でもこれが本当の姿だろうと思う

 ふっと見ると知らない人だが話しから同じ警備員とわかる人も来ている。年末年始に食えなくなる警備員は多い。週払い、日払いで休日が多いと当然、日当はない。その人は日払いで仕事がなくなり会社の寮も家賃滞納で追い出されたという。よくある話だ。私は有給休暇で休んでいるから心配はないし年金もある。小さい会社なら…、昨日の俺だな

次に会ったらユニオンの話し…と思ってその日は終了した。(ビルメン 警備員M・I)

■31日 新宿駅南口とその界隈でチラシ配布。中々手にしてくれる人が少ない。私の経験の中で一番大変なものでした。

1日 大久保公園で相談者対応作業をする。暖かい飲み物茶菓をお出しする。また丸型石油ストーブ3台で湯沸かし作業。

来場者はもっと見た目に貧しい人たちがやって来るのかと思っていたが普通の人が大方だった。

寒さの為もあったが私は忙しく立ち働いた。そんな私に一人の来場者の男性が声をかけてくれた。その言葉は今まで経験したことのないもので私の心に響いた。私は力づけられそして言い知れぬ喜びが身体をつつんだ。「頑張ってくださいね。ありがとうございました。」と自分にいった。(すみだ・K)

実行委員会報告

以下は、実行委員会代表である弁護士の棗一郎さんの1月2日に発表したコメントです。(相談件数、内容は、現在集計中のため確定したものではありません。)

 大晦日と元旦の2日間にコロナ被害相談村に来場された人は470人ほどでした。実際の相談件数は418件。食料品とお弁当だけという方が130人ほどいました。用意したお弁当(約250食)では足らずに、途中で何度もスタッフに買い出しに行ってもらいました。昨年の相談村の2倍の方が来場されました。国や行政の公助が全く行き届いていないということの表れです。

 相談件数は大晦日に169人、元旦に249人で、合計418人のうち、女性89人、男性329人でした。 年代別では、10代1人、20代13人、30代30人、40代80人、50代94人、60代90人、70代65人、80代14人、最高齢95才、最年少は18才でした。40代以上の年齢層が長期に困窮している実態が分かりました。

 コロナ感染被害が長引いて、失業期間も長引き生活が困窮している人が増加しています。公助が駄目です

 今回は医療相談にこられた方が多くて25人もいました。40代から70代の相談が多かったのが特徴でした。生活を建て直すには、何よりも健康と住居と就職です。十分な医療・住宅支援と失業対策事業を国や都道府県、市町村がやるべきです。東京都のいくつかの区に公園の清掃や運転手等6人分の仕事を提供して貰いました。初めのことです。 さらに、今回はフリーランス(自営業)の方の相談が多かったことが特徴です。雇用と個人事業の境目で苦しんでいる方たちがほとんど何の支援も受けられずに、社会から放置されている実態が浮かび上がります。仕事があるときだけの細切れの「ギグ・ワーク」が、雇用によらない働き方としてこれ以上この国の社会に広がったら、大変な事態になると危惧されます。何とか、止めないといけません