外国人支援ネットKAMEIDO 「自分を守ろう!」プロジェクト
下町ユニオンニュース 2018年6月号より
リーマンショック後に急増した日系人の労働問題に対応するために連携した下町ユニオン、東京労働安全衛生センター、カトリック東京国際センターの3団体は、「外国人支援ネットワークKAMEIDO」として、外国人相談会を継続して来ました。
当初40代以上の日系人の相談が中心でしたが、近年、ベトナム、バングラデシュ、ミャンマーなどの若い世代の留学生や技能実習生からの相談が増えています。彼らの相談は、在留資格などの状況から、一刻を争うものや、生活を丸抱えしなければならないものが多いのですが、当事者たちは無防備で、問題解決に必要な最低限の情報すら持っていないことが少なくありません。それ故、彼らの相談を受ける場合、初歩的な情報集めから始めざるを得ないなど、時として受ける側の力量を越えた大きな負担を負うことになります。「技能実習生、留学生からの相談を受けることができない」という外国人支援団体や労働相談を行っている方々の声を耳にするのはそのためです。
そこで、ネットワークKAMEIDOでは、(公益信託)アジア・コミュニティ・トラストからの助成を受け、「自分を守ろう!プロジェクト」を立ち上げることにしました。
プロジェクトは、これまでの相談経験から、留学生や技能実習生に必要と思われる「いざという時に自分を守るため、日々やるべきこと」「アクシデントが起きた時、適切に対応するための知識」を、キャッチコピー風の短文にまとめ、①英語、ベトナム語、ミャンマー語でパンフレットを作成する、②各言語の動画をYouTubeで配信する、③外国人コミュニティーでの勉強会を開催するという3ステップを通して、若者たちを啓発するものです。
ベトナム青年大会。500人以上のベトナム青年が、話に真剣に耳を傾けた。
2月から配布を開始したパンフレットは、内容もイラストも大変好評で、各地の外国人コミュニティーからの要望もあり、現在増刷中です。日本労働弁護団のブログでも紹介されました。
3月にカトリック築地教会のミャンマー人コミュニティーで、5月にはカトリックベトナム青年大会の場を借りて、勉強会も開催しました。
パンフレットを見た方が「私達の言語でも!」と自分たちの言語に翻訳してくださり、現在、インドネシア語、ネパール語、スペイン語、ポルトガル語に訳されています。それらは、夏以降のパンフレット配布を検討中です。ネパール語は、ユニオンで解決に至ったカルヤンさんが、帰国前に「ユニオンへの感謝」として翻訳してくれたものです。
このような情報発信は、一挙に成果をあげられるというものではありませんが、「権利の獲得」や「自らの尊厳を守る」ための大切な一歩であると信じています。対峙する問題がいかに重たくて大きくても、可能性を持つ若者たちの未来が失われないように、私たちにできることを探し、協力し合いながら今後も活動を継続して行きたいと思っています。
(カトリック東京国際センター 大迫こずえ)
パンフレットは――
外国人支援ネットワークKAMEIDOのホームページからダウンロードできます。