ハラスメント職場をどう変えるか 公開労働講座を開催
下町ユニオンニュース 2023年4月号より
下町ユニオンで受ける相談でも、職場でのいじめや嫌がらせに関する相談がここ数年、多く寄せられている。そこで、2月28日、金子雅臣さん(職場のハラスメント研究所)をお招きし、東京都労働相談情報センター亀戸事務所と共催で公開労働講座「事例で学ぶ職場のハラスメント~具体例とその対策」を開催した。以下、お話の概略を報告する。
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ハラスメントとは、行為者の意図には関係なく、ある発言や行動を受けた相手を、不快にさせたり傷つけたり、不利益や脅威を与えることを指す。行為者は無自覚な場合が多いことも特徴である。法が制定されて、①事業所による方針等の明確化、②相談・対応体制の整備、③パワハラの事後の迅速・適切な対応、④プライバシー保護と被害者の不利益取扱の禁止、が定められたが、実際には対応の体制や迅速さ・適切さが課題となっている。
例えば、暴言の継続で病気休職となった事例は、休職を余儀なくされるほどの深刻な状況にまで至らないと対応がなされない現状を示している。早い段階で注意や対策がされない背景には「これはハラスメントなのか」と判断できない戸惑いや、行為者が上位の地位にある場合が多いため大げさにしたくない、などの意識が多くある。
パワー・ハラスメントとは、①職場で、②優越的な関係を背景に、③業務上必要かつ相当な範囲を超えて、④雇用する労働者の就業環境が害されること、と定義される。③の判断が難しい場合が多いが、これは人権というよりは仕事上のモノサシであり、ハラスメントかどうかを判断する時に、一番重要なのは、やはりその行為が「人権侵害かどうか」という点にある。(※本当はもっと多くお話いただいたのですが文字数の関係で、本当に少しですみません)
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〈感想〉 日本では、職場のハラスメントは働く人の三人に一人が経験ありというほど広く起きている問題だが、会社は問題があることにさえ気づいていないことも多い。背景には言い出すことで不利益を被るかもしれないという被害者の不安があると思うが、労働組合がその受け皿としての役割を十分に果たせていないことも、現状の一端に関わっているのだろう。忸怩たる思いを感じた学習会だった。「行為者も納得しないと問題解決しない」という金子さんのお話は、うなずける面と、実際には困難が多いのではと思う、二つの気持ちでお聞きした。ユニオンでの活動にいかしていきたい。(M)