最低賃金の大幅引き上げを!

 6月28日、今年度の最低賃金の上げ幅の目安を決める第一回の中央最低賃金審議会が厚労省で開催され、全労連、全労協、最低賃金大幅引上げキャンペーン委員会が共同してアピール行動が取り組まれました。
 物価高騰は特に最低賃金の近傍で働く非正規労働者の生活に直撃していること、最低賃金の大幅な引き上げ、都道府県単位ではなく全国一律にすること、審議を公開することなど求めて参加組合から審議会の委員に向けてアピールが続きました。
 下町ユニオンからも加瀬事務局長から日系ペルー労働者のSさんの給料明細を例に取り上げて最低賃金の大幅な引き上げを訴えました。

月230時間働いて手取り20万

 Sさんはコンビニやスーパーなどのパンを製造している工場で働いていました。工場が稼働して入社し勤続15年。ガンを患い昨年9月に退職し、今年春に亡くなりました。組合員の妻のAさんから退職後の傷病手当金の手続きが未手続だったことでその手続きの手伝いでSさんの残されていた給料明細書を見ました。

 昨年4月分を見ると月233時間働いて、税金、社会保険料を引いて手取りはわずか20万9548円でした。Sさんの時給は1070円、工場のある千葉県の当時の最低賃金は925円。5月分は月207時間で手取り18万8千円。ガンを患いながらも長時間労働していたSさんを想像すると本当に切なくなります。外国人労働者だから賃金が差別され安いわけではありません。2017年のSさんの時給は千円、当時の最賃は842円なので158円高かったです。しかし勤続15年で最賃より150円しか上がっていないのも事実です。残業、残業で働き詰めで日々何とか暮らしているSさんのような最低賃金の近い賃金で働いている非正規労働者は日本ではたくさんいます。年収300万未満の労働者は全労働者の37%、2千万人以上になります。

 日本の賃金が1997年をピークにして実質賃金は下がり続け、平均年収では0ECD35ヵ国中で22番目まで落ちています。

 Sさんの例でもわかる通り時給千円でも憲法で保障された健康で文化的な生活は到底出来ません。 現在、コロナの影響、異常気象、ウクライの戦争、円安などで、電気やガス代、食料品など私たちの日々の生活必需品の物価が上がり続けています。最低賃金は昨年2.8%で過去最高でしたが、今年は、物価高の分も入れて大幅な引き上げがなければマイナスになってしまいます。参議院選挙でも野党の公約に最賃1500円など掲げられるようになりました。最低賃金の大幅な引き上げを求める声を大きなものにしていきましょう