東京労働局交渉の報告

東京労働安全衛生センター 飯田勝泰

下町ユニオンニュース 2021年12月号より

毎年、東京労働安全衛生センターは地域のユニオン、労働組合、被災者とともに、東京労働局交渉を行っています。今年度は11月10日(水)午後、九段第三合同庁舎の会議室で、24名の仲間が参加して交渉を行いました。概要を報告します。

1.独自と自主点検表と動画でパワハラ防止対策
 職場のパワーハラスメント防止対策として相談体制の拡充と「パワハラ防止対策指針」に基づく具体的な職場での取り組みへの支援を要請しました。東京労働局では「パワハラ防止自主点検票」を作成し、YouTubeに解説動画をアップしています。東京労働局のホームページからダウンロードして、手軽に職場で活用できるようになっています。

2.13次防目標達成遠のく 3年連続で死傷病1万超
 第13次労働災害防止計画(2018年度~2022年度)の4年度目を迎え、取り組みの進捗状況について尋ねました。昨年の死亡災害は39人で前年から8人減少したものの、死傷者数(休業4日以上)は10,645人で3年連続1万人を超えています。今のままでは13次防の目標達成は困難です。

3.新型コロナ感染症で業務上疾病は急増
 昨年の業務上疾病(死亡及び休業4日以上)の発生件数は1,929件。うち新型コロナ感染症が972件、災害性腰痛521件。また今年10月末までの新型コロナ感染症の労災請求件数は3,957件、決定件数は3,014件、支給件数は2,901件でした。労基署別、業種別での請求、決定、支給件数の情報提供を重ねて要請しました。

4.パワハラ類型に応じた心理的負荷の評価
 精神障害の労災認定では、「退職強要」と「退職勧奨」の判断基準を明らかにするよう求めました。労災補償課は、執拗に退職を求められた場合、恐怖感を抱かせる方法で退職勧奨が行われた場合、突然解雇通告を受け何らの説明もなく、説明を求めても応じることなく撤回されなかった場合、心理的負荷の強度を「強」判断。また「解雇」の平均的な心理的負荷の強度は「Ⅲ」と一番重く評価されており、被災者の主張をもとに解雇、退職強要の経緯、強要の程度等を調査し、適切な評価を行うと回答。パワハラでは「身体的攻撃」、「精神的攻撃」だけでなく、「過大な要求」、「人間関係からの切り離し」、「過小な要求」、「過大な要求」、「個の侵害」についても、請求人の主張をもとに適正に評価すると回答しました。

5.移住労働者の休業支援金・給付金制度
 交渉には複数のフィリピン人労働者が参加しました。現在、就業先のホテルが閉鎖され、解雇同然の状態に置かれています。この間職業対策課の担当者が親身になって相談にのり、新型コロナ感染症対応休業支援金・給付金を受給することができましたが、同課担当者が交替し、二回目以後の申請ができない状態です。職業安定課は、「とにかく京都の受付センターに郵送又はオンライン申請してほしい」の一点張り。労働組合やNGO等の支援団体と協力し、移住労働者が不利益を受けないよう行政の対応を求めました。