職場のメンタルヘルスのイロハ
下町ユニオンニュース 2021年11月号より
2019年にいわゆる「パワハラ防止法」が成立し、2020年6月1日から職場におけるパワーハラスメントを防止する対策が大規模の事業主に義務づけられました(中小事業主は2022年4月1日から義務化)。しかし、職場でのいじめやハラスメントが多発する状況は改善されていません。
例えば、昨年度、厚生労働省の全国379ヵ所にある総合労働相談コーナーに寄せられた相談のうち、個別の労働紛争の相談件数は27万以上にのぼり、「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は実に8万件近くになります。
職場でのいじめやハラスメントについては、被害を受けた時に一人で抱え込まないことが重要です。最近は、相談窓口を設けている企業も増えていますが、そうした内部の相談窓口が信頼できない場合には、外部の労働組合や労働団体、公的な労働相談窓口にご相談ください。
また、パワハラやセクハラは、録音や記録(メモなど)を取っておくことが重要です。メールやLINEなどによるハラスメントは後に証拠が残りますが、口頭でのハラスメントは録音などをしておかないと、後で「言った・言わない」の水掛け論になってしまいます。自分の身を守るために、こうした記録を取っておきましょう。
そして、職場のいじめやハラスメントは、単に加害者個人の問題にとどまらず、その職場全体の問題でもあります。業務体制の整備や長時間労働の防止、パワハラ防止のルール作りや研修など、職場全体の環境・職場風土の改善が必要な場合も多いのです。働く者のメンタルヘルスを守るために、労働組合による労使交渉や職場の安全衛生委員会の活用なども重要です。
(東京労働安全衛生センター分会・A)
※職場のメンタルヘルス講座 第3回のお知らせ
東京労働安全衛生センターでは毎年、職場のメンタルヘルスの連続講座を秋~冬にかけて開催しています。第3回は、以下の日程・内容で行います。
日 時: 2021年11月25日(木)18時半~20時半
場 所: 東京労働安全衛生センター 4階会議室
テーマ: 『実践・ハラスメント相談の対応』
講 師: 金子 雅臣さん(職場のハラスメント研究所 所長)
第3回は、ハラスメント相談を受ける立場になったときの「被害者」「行為者」への対応、また「組織」として求められる姿勢などについてより実践的に学びます。
※申し込み: オンライン参加も可能です。参加希望の方は、「TOSHC2021・職場のメンタルヘルス講座参加申込」フォームにアクセスして、お申し込みください。東京労働安全衛生センターの事務局が申込を確認後、ZOOM参加のIDとパスワードをメールにてお知らせいたします。