解決報告

(下町ユニオンニュース 2024年5月号より)

🔵A社(工場内下請け会社・現場は自動車用部品工場・東京)

 バングラディシュ人のRさんは、2年前から埼玉にある自動車の部品を製造している工場で工場内「下請」会社の契約社員として働いてきた。

ベトナム人と一緒に二人作業をやってきたが、相方がベトナムが一時帰国することでペルー人が入ってきた。仕事が上手く出来ないので教えようとしても話しを聞こうとしない。委託先の正社員からは協調性がないとRさんを他の部署へ異動を命じられた。異動先の仕事で手を痛め、Rさんは指が痛くて仕事が出来ない状態となり、元の部署へ戻してほしいと頼むが会社は聞き入れてくれなかった。

困ったRさんはユニオンへ相談。Rさんから作業の状況を聞くと委託先の社員から指揮命令を受けたり、委託先の技能実習生と一緒に働いていたりと「業務委託」ではなく、偽装請負状態で実態としては「派遣労働」であることがわかった。団交では、なぜRさんを異動させたのかと問うと、現場担当者からはRさんがコロナや体調不良で当日欠勤が何度もあったことや他の外国人労働者と協調性がないなど挙げながらも、作業の実態が派遣労働になっていることを特段意識をもせずに話をした。

ユニオンから偽装請負状態を追及すると同席していた顧問弁護士もほとんど反論出来ずにいた。

Rさんは肩と指を痛めてしばらく働ける状態ではないこともあり、退職条件として休業手当と当面の生活補償のためのお金を会社が支払うことで合意し解決した。

🔵B社(派遣会社・現場は自動車用部品工場・茨城)

 茨城にある自動車部品工場で派遣労働者として働いてきたフィリピン人のSさんは、製品を失敗したことでお客からクレームが入ったとして一方的に派遣契約を切られた。

派遣会社の担当からはクレームもあるが工場の仕事が減っていることが本当の理由であると言われたが納得がいかなかった。

団交では就業条件明示書が無く、苦情申立てについて説明もなかったことを追及。次の派遣先を紹介されたが時給も下がったり、通勤に時間がかかったり、キツイ労働だったりとどれも希望する条件と合うものがなかった。

退職条件として会社が解決金を支払うことで合意した。