『労災被災者の生活と権利を守り、労災保険料のメリット制の廃止を‼』院内集会

(下町ユニオンニュース 2023年6月号より) 

 5月22日、衆議院第一議員会館にて、院内集会『労災被災者の生活と権利を守り、労災保険料のメリット制の廃止を!』を開催しました。この院内集会は、昨年秋から、労災保険制度について、労災・職業病の被災者の療養生活や権利を破壊する改悪が強行されていることに抗議し、議論を呼びかけるために開催されました。全国安全センターの関係者、労働弁護士や労働組合、そして野党の複数の国会議員が参加しました。

 近年、事業主が労災認定の取り消しを求める訴訟を起こしており、東京高裁で「事業主は労災取り消し訴訟を起こせる」との判決が昨年秋に出ています。また、こうした状況を受け、厚労省は今年1月に、労災認定に伴う保険料の値上げに関して、事業主が労災認定への不服を申し立てられるようにする、との制度改悪を行いました。いずれも、事業主が労災認定の内容を公の場で争うことができるようにするもので、事業主に労災否定の新たな武器を与え、労働者の生活と権利を脅かす深刻な問題です。

 今回の院内集会では、この問題の原因になっている、労災保険料のメリット制についても焦点をあてました。メリット制は労災の多寡により保険料を増減する仕組みですが、事業主に不利益(労災保険料の値上げ)を課すので、労災認定への不服申し立ても認めるべきだ、という乱暴な主張がされています。集会の中では、そもそもメリット制が労災隠しの温床になっていることや、大企業を優遇するいびつな保険料計算が行われている点などが指摘され、メリット制そのものを廃止する必要がある、との声が上がりました。

 労災認定への事業主の不服申し立てを防ぎ、労災被災者の生活と権利を守るため、今後もこうした取り組みを続けていく予定です。ぜひご関心をお寄せください。

 天野 理(東京労働安全衛生センター)