最賃引き上げ今すぐ1000円!
最賃引き上げ今すぐ1000円!
生活できる賃金を実現しよう!
下町から時給1000円以下をなくそう!
江戸川ユニオン 小畑精武
Q1 なぜ今最賃引上げが必要ですか?
このところ生鮮品はじめ物価の値上がりが目立ちます。賃上げ率から物価上昇分を引いた実質賃金は4年連続下がり続けています。昨年、最低賃金は東京で888円から2・1%上がって907円に上りました。しかし、907円では1日8時間、月に21日働いても152,376円にしかならず、東京の高卒初任給177,900円(平成27年度)にも達しません。ユニオンはじめ連合など多くの組合が掲げている「今すぐ1000円」は高卒初任給より低いのです。
Q2 最賃労働者、低賃金労働者は増えているのですか?
最賃以下、最賃ギリギリの低賃金労働者が増えています。政府統計でも最賃以下の労働者は190万人、最賃+40円以下は510万人にも達しています。また短時間労働者の約40%は「地域別最賃額×15%(897円)未満」(2014年)の低賃金で、5年間に11・3%も増加しています。先進国でつくるOECDは賃金の中位数の3分の2以下を低賃金基準として定めていますが、日本の最低賃金は中位数の39%と大きく下回っています。
Q3 アジアやアメリカで最賃運動がさかんになっているようですが?
2015年、アジアではミャンマーが、ヨーロッパではドイツが最低賃金法を施行しました。アメリカでは「Fight for 15$」の運動が高揚し、すでに14年にシアトル、サンフランシスコ、15年にロサンジェルスで時給15ドル条例が制定されています。
アジアでは最低賃金が平均賃金と連動し、活発な運動が展開されています。なかでもインドネシアは労働組合が大きな力を持ってデモやストライキにより最低賃金引き上げ、大統領選挙では労組支持候補が勝利して、なんと40%の最賃引上げを勝ち取っています。
Q4 最低賃金はどうやって決まるのですか
最低賃金の決め方は各国一律ではありません。ドイツではこれまでは労働組合と経営団体の産業別の労使交渉により全国に拡張適用する最賃を決めてきました。昨年からは全国一律の最低賃金8・5ユーロ(1148円)を法制化し、イギリス、フランスも全国一律の最低賃金です。イギリスには年齢で異なる18~20歳5・3ポンド(1022円)と21歳以上の最賃6・7ポンド(1296円)があります。
アメリカは州を超える連邦最賃(7・25ドル)、州や市が地域で独自に定める地域最賃があります。インドネシア、タイ、中国や日本では地方毎に決める地域最賃です。
日本の場合、国が改定の必要を認め、公労使の代表から構成される中央最低賃金審議会に調査審議を求め、全国を4ランクに分けた最賃の「目安」を出します。県毎に設けられる公労使の代表から構成される最賃審議会はその「目安」を参考に調査審議し意見を示し、その意見を聞いて国はその地方の最低賃金を決定します。
Q5 日本の最賃を決める原則と問題点は何ですか?
原則は①地域の労働者の生計費、②地域の労働者の賃金(水準)、③通常の事業の支払い能力を考慮することとあります。「生計費」については「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」と2007年に改正されました。しかしこの場合の生計費は18~19歳の単身者生計費であって、ILO(国際労働機関)が示す「労働者とその家族の生計費」の水準からは大きく下回っています。現在子どもの貧困が社会問題になり、その要因として母子家庭の生活の厳しさが指摘されています。「労働者(母29歳)とその家族(子3~5歳)」生活保護費は東京で月額207,510円、時間額では1273円になります。
Q6 最低賃金の目標はいくらですか?
東京の高卒初任給は177,900円(平成27年度)、時間額(平均月163時間労働)にすると1091円です。「いますぐ1000円! 地域から1000円以下の時給をなくそう!」は決して高い目標ではありません。東京だけでなく、低い水準にある地方も1000円の最賃を必要としています。地方から東京などへの人口流出を防ぎ、若い人が希望を持って働ける最賃とし、「最賃格差」をなくすべきです。イギリス、フランス、ドイツなど先進国は全国一律最賃制をとっています。
安倍首相は「1000円最賃」をいってますが実現は2023年と8年先で、かつ3%の経済成長を見込んでのことです。民主党内閣の時は連合と2020年に1000円実現を確認しており、それを先送りするものです。
さらに「労働者とその家族の生計費」には1500円の時給をめざすことが必要でしょう。
安倍首相は国会で「パートも25万円」と答弁しました。時給に直すと1533円です。生活できる最低賃金「時給1500円」を実現しましょう。