最低賃金 厚労省への要請と『政府目標「最賃1500円」撤回するな!最賃改定「発効の先送り」を許さない!12・3院内集会』に参加して

下町ユニオンニュース 2026年1月号より

2025.12.3最賃院内集会

 下町ユニオンも加わっている「最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会」は12月3日に厚労省への要請と院内集会を行いました。
 高市早苗首相は11月14日の参院予算委員会で、最低賃金をめぐって、石破茂前政権が掲げた「2020年代に全国平均1500円」の目標について、実施時期と金額を明言しませんでした。
 また、これまでその年度の最低賃金額は例年10月に発効してきたのに、今年は発効時期を先送りする県が続出し、秋田県に至っては年度末の3月31日から改定するとし、最賃引き上げの効果が半減する事態にまで至っています。
 この2点が最大の不信点です。

 厚労省側は、全国平均1500円の目標は維持されていると答えました。しかし目標を事業者に丸投げせず、中小企業・小規模事業者が継続的に賃金を支払っていける環境のためにいろいろ考えているから、今この時点で高市内閣として具体的な数値目標を示していないのだ、というような言い方でした。昨年の要請では具体的なロードマップを示せなければ絵に描いたもちではないか、という話をしていたのですから、この曖昧な答え方では事実上の撤回ではないか、と言う疑いは消えません。

 また、発効の先送りも、年度を越えることはない、と当初厚労省側は答えましたが、具体的な歯止め規定が無いことも認めました。発効が遅れてもそれが翌年の最賃引き上げのベースになるのだからいいではないか、と受け取れる答えもありました。しかし、それでは最近の物価がどんどん上がっている中で労働者側が一方的に我慢しろということになります。発効日は10月一律に戻すべきです。

 生活の必要額から見れば、1500円でも不足であり、1700円以上を目指すこと、全国一律の最低賃金の必要性、全審議の完全公開、抜本的な中小零細企業への直接支援政策も求めました。

 日本の実質賃金水準は30年間下がり続けるという、他国と比べ異常事態になっています。
 また、雇用労働者の4割を占める非正規労働者の、その多くが最低賃金額に近い賃金水準で働いています。 まさに「生存権」に直結する問題として、今後も最賃引き上げの運動にユニオンとしても全力をあげていきましょう。        (石田)