コミュニティ・ユニオン全国ネット 第37回全国交流集会 in えひめ松山の報告

下町ユニオンニュース 2026年1月号より

   11月29日~30日、松山市総合コミュニティセンターにて、『第37回コミュニティ・ユニオン全国交流集会』が開催されました。

全国から61団体、250名が来場し、下町ユニオンからも7名が参加しました。

オープニングでは、国労四国トレインズによる歓迎演奏があり、国労解体時の屈辱的な扱いや罵声、それに屈しなかった国労組合員の日々が描かれた歌に涙しました。

二〇二四年にノーベル平和賞を受けた日本被団協代表理事の松浦秀人さんからは、平和と人権、核廃絶を訴えるビデオメッセージがありました。全国ネットワーク総会では、名作「坊ちゃん」の袴コスプレをされた司会のお二人が、議事を進行し、会場を沸かせてくれました。

記念講演の「伊方原発運転差し止め訴訟 12年半の闘い」では、弁護団事務局長の中川創太弁護士の「2度目は(原発は安全との嘘に)騙されてはいけない」との言葉が印象に残りました。

全国のユニオン、労組からは複数の闘争報告も伺い、勇気が湧きました。実質賃下げに対して要求の満額回答を勝ち取った「札幌地域労組大学非常勤講師ユニオン」からは、『大学講師の仕事』の内容説明がありました。その際、会場の参加者も、中国語の発音『四声』の練習をしたのが、とても楽しかったです。

夜のレセプションでも、広島ピースオーケストラのヴァイオリニストによる『ヒロシマ』と言う核廃絶を訴える演奏があり、こちらも心に残りました。

翌日30日は、下町ユニオンの加瀬さんが、『第5分科会 生活できる賃金を!最低賃金を大幅に引き上げよう!』を、天野さんが、『第7分科会 長時間労働をなくすには』を担当して、各分科会、全体会ともに大変盛況となりました。(I)

分科会「福祉的就労と労働問題(北大阪ユニオン)」に参加して

就労継続支援A型事業所とは、障害があり、今すぐ通常の仕事に就くことは困難だが、必要な支援を受けながらであれば就労も可能な人に対し、就労の機会を提供し、支援を受けて働きながら必要な知識やスキルを身につけ、通常の雇用へつないでいくというものです。

しかし、助成金を目当てに、必要な支援を全くしないどころか、虐待が常態化している事業所も少なくないそうです。就労Aは、2007年には148ヶ所だったが、2024年には4634ヶ所に激増する。

【相談にあたる時の経験上の教訓】

●サービス提供実績記録票と代理受領額通知書の確認をまず確認 ●行政に提出している書類開示請求 ●ユニオンは支援者ではなく共闘関係 ●ユニオンで対応する部分としない部分の線引きを明確にする ●障害特性を把握し、被害妄想等に引っ張られない ●虐待を行っている事業所はほぼ間違いなく不正受給も行っている、とまとめられました。

私の働き先でも特別支援学校を卒業し就労Aに通っている。就労がゴールになっている。自立とは何かなどと考えさせられた。(K)

全国交流集会・オプション企画 ~全国ネット訪韓団報告会~

全国交流集会の二日目の午後、オプション企画として行われた「全国ネット訪韓団報告会」に参加しました。

今年7月、全国ネットの有志が訪韓し、22~23年に日本遠征闘争を行った韓国ワイパー分会のみなさんと交流しました。また、韓国非正規職労働団体ネットワーク(韓非ネ)の博覧会にも参加しました。今回は、韓国から全国交流集会に参加した韓非ネのメンバーも出席し、韓国の労働運動の現状や現場の取組みなどを報告してくれました。

韓国では、ここ20年の間に、各自治体で五千を超える労働関係の条例が制定されています。各条例の内容は、移住労働者や下請け労働者の支援や、感情労働者やエッセンシャルワーカーの保護など多岐に渡ります。そして、自治体が委託する地域労働センターが全国で約70カ所あり、多くの労働活動家が、不安定な立場に置かれている労働者の支援や組織化に活躍しています。

報告会の後半は、訪問団が訪れたソウル近郊の安山市での労働運動の話が中心でした。2012年に安山市で非正規センターを作り、そこから共済会や財団などを作り、労働組合だけでカバーできない地域での取組みを展開。さらに、労働・人権などを労働者が学ぶ連続講座「安山労働大学」や、労働法を学ぶ法律講座などを開催。こうした取り組みの中から、韓国ワイパー分会の闘いも生まれたそうです。

安山市の非正規センターの話の中で、特に興味深かったのは、青年労働者の集まり「マニット」です。安山の工業団地で働く10代後半から20代の若者たちの組織化を目指し、若い活動家が青年労働者の話を聞き、趣味を共にし、2年間の間、まったく労働運動の話はせずに対話を深めていったそうです。そうして積み重ねた信頼関係の中から、青年労働者の権利保護に取り組む集まり「マニット」が生まれ、現在は70人以上のメンバーがいるそうです。

私たちも、もっともっと地域に根差して組織化の取り組みを展開していきたい。そんなエネルギーをもらった報告会でした。

(江東支部・A)