お茶くみとお酌(私の職場)
かつて、女性社員の義務とされていたお茶くみとお酌の話です。
(下町ユニオンニュース 2023年11月号より)
1992~1997年、私は江東区内の中小企業で、正社員として働いておりました。
女性社員は入社すると、まず湯呑み茶碗やコーヒーカップが誰の物かを暗記します。
上司ごとにコーヒー粉末、クリープ、砂糖の分量も違うのでそちらも覚えねばなりませんでした。間違えると怒鳴られます。
「一時が万事だからね、たかがお茶くみとか侮ってはいけません。お茶すら間違えるような社員には、重要な仕事は任せられません。」
と説教されるのでした。
「女子社員は笑顔が大切だ。無表情にお茶を出してはならない。男性社員は女性の笑顔で元気になるのだから、笑顔を作れ!」
と、社長からも謎の訓示があり、上手に笑顔が作れる女性社員を朝礼で褒め称えたりもしました。
中小企業は、私が働いた全ての会社で、お茶くみが女性社員の義務であり、女が男に尽くす男尊女卑文化が礼賛されていました。
派遣社員として働いていた大手企業は、給茶機が普及していた為、来客時のお茶出しは、男性社員もしていました。こちらの方がずっと合理的でした。
さて、次は宴会の「お酌」です。
どの勤務先でも、暑気払い、忘年会と称して、ホテルの宴会場や高そうな居酒屋での宴会がありました。社員旅行での宴会もありました。
その際に、やはり女性には「お酌」が強要されるのです。
「ちょっと、部長のグラスが空になっているわよ!ちゃんとお酌しなさい!」
これは、今の私と同じ50代の女性社員からよく言われたセリフです。そしてこの女性は、男性社員からこう言われているのです。
「ババアのお酌じゃ、ビールも不味くなるからな、若い女子社員にお酌させろ!」
もう、女性差別、年齢差別、差別のデパートのような宴会でした。
女性は今なお、賃金差別に苦しんでいます。非正規雇用の人数も女性は男性の2倍です。
今年10月24日、アイスランドでは男女の賃金の平等を訴える10万人のストライキが行われました。世界は平等を求めて前進しています。日本でも、年齢や性別で差別されない、全ての人の人権が尊重される職場にしたいです。それは
男性も働きやすい職場のはずです。
みんなで声をあげて、働きやすい職場に変えて行きましょう! (江東・I)
*1975年10月24日、『女性の休日』と呼ばれる大規模ストライキが行われた。
男女の賃金格差、性別役割分業に抗議し、アイスランドで国中の女性の約9割が参加したといわれている。こうしたストは48年間で7回目という。