最低賃金 再改定を求めて
下町ユニオンニュース 2022年12月号より
地域最低賃金の改定された新時給額が全都道府県で10月から発効しました。最高額の東京は時給1072円、最低額の青森、秋田、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄の10県は853円(800円台は28県)、全国加重平均は961円です。
この改定のベースとなっている中央最低賃金審議会が8月にまとめた「目安」の根拠のひとつである物価の高騰が続いています。総務省発表の10月消費者物価指数は前年同月比3・6%上昇で、40年ぶりの伸び率です。改定新最賃額は物価上昇にまったく見合っていないものであることは明白です。「目安」の根拠のひとつが大きく変動しているのですから、年度内に再度審議会を開催し、再改定が必要です。最賃法でも改定は「必要と認める時」とされ、年一回と決められていません。8月の目安まとめの際の公益委員見解でも「まとめにあたり前提とした消費者物価等の経済情勢に関する状況認識に大きな変化が生じたときは、必要に応じて対応を検討することが適当」としています。
下町ユニオンも連絡先のひとつとなり、事務局にも参加している「最低賃金大幅引上げキャンペーン委員会」では、10月24日に厚生労働大臣宛てに今年度中の再改定のため中央最賃審議会に諮問するよう求める要請書を提出し、担当部局に申し入れを行いました。
厚労省側は、「最賃決定は、生計費、賃金、事業主の支払い能力の三つを総合的に判断して行うので、現時点で再改定、審議会への諮問は考えていない。物価上昇については注視している。」との回答に終始しました。しかし、改定は年一回ということは定められていないことは認めています。せめて審議会の開催を諮問することの検討を今から始めるよう繰り返し求めましたが、「要請があったことは報告する」との回答にとどまりました。
最賃再改定を求める要請は、岩手、宮城、新潟、栃木、京都、大阪、山口、福岡で各労働局長宛に行われています。千葉、東京、滋賀、奈良でも予定されています。12月5日のコミュニティ・ユニオン全国ネットワークの厚労省交渉でも要請します。
生存権を守り、生活できる賃金の実現にむけて、引き続き全国のなかまとともに取り組みを進めていきましょう。