『すべての公文書に西暦表記を』
6年前から事務局として関わってきた市民団体「西暦表記を求める会」から『すべての公文書に西暦表記を』 副題「年の表記方法」を決めるのは《私たち》、というブックレットを出版しました。(社会評論社 定価900円+税)
現在日本では公文書の年の表記には「元号」というものが使われています。その理由は、法的には定められてはいないけれどそれが『慣習・慣行』だから、と政府は一貫して言い張ってきました。天皇の在位期間と紐付けられた一世一元の元号は1868年の明治維新によって設定されたものです。
世界には様々な年の数え方があるのですが、「元号」は不定期にリセットされてしまうという、紀年法としては致命的な欠陥を持っています。そのような年の表記方法で行政を行おうとするなど常識では考えられないことです。
私たちは日々、社会の中で年の比較や計算を必要としています。平成3年建設の中古住宅は築何年か、というように。しかし、リセットされてしまう数字では演算ができませんから、必ず漸増的な数字(西暦)に換算してから計算せざるを得ず、日本社会は日々その換算コストを払い続けているのです。
ユニオンでも、行政への様々な手続き書類で苦労させられています。
誰しも、ならばなぜ公文書も西暦にしないのかと思うでしょう。すると必ず、「日本の伝統」を守れ、とか「西暦はキリスト教のものだから政教分離に反する」というようなことをいって反対する意見が発生し、何十年間も、話しがそこで終わってしまうのを繰り返してきました。
一方、政府も惰性で「国民は元号・西暦を自由に使い分けられる、西暦での申請も受け付ける」と言いながら電子申請やOCR書式には元号での入力・記入しかできないものを作っています。また、情報化の必然から、2019年には省庁のデータを西暦化しましたが入出力時にはわざわざそれを元号に変換するというのです。
このブックレットではそのような西暦化に反対する意見との対話を試みました。もし伝統だから変えてはならないとするなら日本人は永遠に西暦との換算をし続けなくてはならない「呪われた民族」だということになってしまいます。 それでいいのか? 皆で話し合うことを呼びかけています。
国会で日本の紀年法について議論が行われるよう議員へのロビーイングも行うつもりです。 「日本」というのはあらかじめ定められたものではなく、これから私たちが作り上げていくものだと言う立場でこれからも活動していきます。 ぜひ御一読下さい。
(ビルメンユニオン 石田嘉幸)


