リレーエッセイ 私の小箱「 2025年 暑い暑い夏に想うこと」

下町ユニオンニュース 2025年10月号より

【花火大会に想うこと】

 地球温暖化の影響で今年も酷暑が続いている。夕涼みなどという言葉はもはや東京では「死語」となったか? そんな中、今年も花火大会が数多く開催された。

でも夜空に開く大輪の華を喜べない人達も少なくない。イラン・イラク戦争で孤児となったサヘル・ローズさんもその一人だ。テレビ番組で彼女は「花火は空爆を思い出すので見ていられない」と語っていた。

確かに花火のド~ンド~ンという音はガザ等での空爆を連想する。戦争を知らない世代が大半となった日本、花火に空爆や空襲を重ね合わせる者はどれ程か? 

かく云う私も彼女の話を聞くまでは「うわぁ~きれいだぁ~」等とはしゃいでいた一人であった。

花火を見て戦争を想起させる人達をこれ以上増やしてはならない、「殺すな、殺されるな、殺させるな」と反戦・平和への想いを更に強くした。

【今年は〇〇から何年後…に想うこと】

 今年は日本人のみならず中国、朝鮮、東南アジアの人々に言語に絶する犠牲と被害を与えた戦争の終結・敗戦から八〇年。各地で追悼や非戦を誓う取組みがあった。しかし今新たな戦前が始まったといわれる。

無論、百年前(一九二五年)に成立した「稀代の弾圧法」治安維持法や九〇年前(一九三五年)に起きた美濃部達吉の「天皇機関説」への排撃運動等の時代(これらを契機に日本は、人権侵害、政治活動・労働運動への抑圧・制限、天皇の絶対的統治権確立、議会の独立性喪失、軍部独裁への途、破局的な戦争へと突き進む暗い谷間の時代)と今が同じという訳ではない。

 だが、集団的自衛権容認、学術会議への政府の介入、軍事費の増大、今夏の参院選で治安維持法是・天皇元首化・スパイ防止法制定等声高に叫ぶ参政党の支持拡大…きな臭い時代の様相だ。

「歴史は二度繰り返す、一度目は悲劇として二度目は茶番として」しかし、戦争は二度目も多大な悲劇だけ、もの言えぬ時代もまっぴらだ。(M.F)