最低賃金ものがたり 2

最低賃金には
どんなものがあるの?

最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。ほとんどが都道府県別単位です。

地域別最低賃金 

「地域内」すべてに通用する最低賃金
 産業や職種にかかわりなく、その都道府県内で働くすべての労働者とその使用者(経営者)に適用されます。パートタイム、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態や呼び方にかかわらず、すべての労働者に適用されます。毎年秋以降、47都道府県別の一覧表で発表されているのは、この「地域別最低賃金」です。現在の全国平均額は1055円です。

特定最低賃金 

特定の産業内での最低賃金
 特定の「産業」について、設定されている最低賃金です。関係労使の申し出に基づき、審議会の調査審議を経て、地域別最低賃金よりも高い額を定めることが必要と認めた産業について設定されています。2025年1月現在で223件の特定最低賃金が決定されています。このうち全国単位は1件のみ(全国非金属鉱業最低賃金)で、残りはすべて、各都道府県内における特定の産業についてのルールとなっています。その地域の特徴的な地場産業などが対象となっていることも多く見られます。

 特定の産業内での最低賃金

都道府県地域別最賃業種特定最賃の時間額特定最賃の効力発生日
北海道1010食品1048 2024.12.1
鉄鋼1100 2024.12.1
電気機械1049 2024.12.1
船舶製造1040 2024.12.1
長野998印刷・製版8502019.12.31
一般機械・輸送機械1043 2024.12.12
精密機械・電気機械1032 2025.1.1
商品小売9502023.12.31
↑各地の特定最低賃金より※は地域別最低賃金のほうが上回っている 
(厚生労働省と連合のHPより作成)     

 

 企業別の賃金決定システムが中心の日本において、企業の枠を超えた賃金決定のシステムがあることの意義は大きいといえます。ただ、地域別最低賃金の金額は毎年更新される場合が多いですが、特定最低賃金は毎年は更新されないことも多く、実際には残念ながら特定最低賃金が地域別最低賃金を下回る場合もかなりあります。その場合には、高いほうの最低賃金が適用されることになります。

地域別最低賃金と特定最低賃金、このどちらも、適用がほとんど47都道府県ごとに細かく分かれていることは、日本の最低賃金の大きな特徴です。どこでも、だれにでも、という視点にたったルールに改めて行くことが、求められているのではないでしょうか、