最低賃金ものがたり 1
最低賃金って何だろう?
なかったら困る、
でもこのままでも困る!
最低賃金とは…
最低賃金とは、最低賃金法で定められた賃金の最低限度です。これより低い賃金で人を働かせたら法律違反です。50万円以下の罰金もあります。最低賃金法は、「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」と、その目的を定めています。
最低賃金がなかったらどうなる?
仕事を探す時に、働く人のほうがが希望する賃金をストレートに言えるケースは、やはり少ないでしょう。というか、ほとんどないと言ってもいいでしょう。賃金の最低基準がなかったら極端にいえば「私は時給500円でもいいので働かせてほしい」という人が出てくるかもしれません。賃金のレベルが底なしにどんどん安くなっていく、会社による買い叩き競争を防ぐために必要なしくみとして作られたのが最低賃金なのです。
金額決定にあたり考えるべき要素
ILO131号条約(日本も1971年に批准)では最低賃金を「労働者と家族の必要であって国内の一般的賃金水準、生計費、社会保障給付及び他の社会的集団の相対的生活水準を考慮したもの」としています。
一方、日本では、金額の検討にあたり、考える指標は①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払能力、となっています。
この③のため、そんなに最低賃金を上げたら会社の経営に差し支える、というような抽象的な反対論が、長年引き上げを阻む壁となってきました。
憲法25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障しています。その具体策としての最低賃金の金額について、「生計費」を満たし、一般の賃金水準とかけ離れたものでない金額に引き上げることが求められています。