難民・移民の命と生活を破壊する、「出入国管理及び難民認定法」の改悪案に再びNOを!
(下町ユニオンニュース 2023年5月号より)
日本政府は、今の国会に「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改悪案を再び提出しました。2年前にも国会に提出され、市民社会からの強い反対を受けて取り下げになった法案です。今回提出された改悪案は、2年前の法案とほぼ同じ内容で、対象になる外国人に対して重大な人権侵害を引き起こすだけでなく、支援を行う市民団体・労働団体の活動にも深刻な影響を与えかねないものです。改めてその危険な内容を紹介します。
第一に、今回の改悪案では、難民申請を3回以上行っている外国人について、退去強制をできるようにする内容が含まれています。日本の難民認定率は約0.3%で、「世界でも類を見ない極めて少ない認定数」と指摘され続けています。母国に帰されれば弾圧を受け命の危険がある方でも、難民として認定されない現実があり、難民申請を繰り返している方も少なくありません。今回の改悪案は、そうした方を強引に帰国させることを可能にしてしまいます。
第二に、退去強制を拒否する外国人に対して、「強制送還拒否罪」を新設し、懲役刑も含む刑事罰を課すとしています。様々な事情で帰国できない外国人に対して、刑事罰の脅しをかけて強引に帰国させようというのです。
第三に、入管施設への収容に替わる制度として、「監理措置制度」を新設するとしています。監理措置の対象となる外国人は、入管施設での収容を一時的に解かれることになりますが、その対象となるかどうかは入管当局の判断次第なので不透明です。しかもこの制度では、入管当局が指定した監理人(身元引受人となる弁護士や支援者など)が、入管当局に対してその外国人の生活状況などを報告する義務を課しています(報告を怠ると罰則があります)。当事者と支援者との信頼関係を破壊し、支援者を入管当局の下請けにするようなひどい内容です。
法案は現在、衆議院の法務委員会で審議中ですが、与党は早期の可決を狙っています。市民団体・労働組合・法律家・宗教者などが、『入管法改悪反対・国会前シットイン』(写真参照)を行い、廃案を求めて闘っています。4月25日には、数百人の在日クルド人の人々が、このシットインに参加しました。日本で生まれ育ったクルド人の若者が「日本にいさせて欲しい。いま定時制の学校で学んでいます。保育士になる夢があるんです。」と懸命に訴えていました。この改悪をなんとしても止めるために、多くの方の参加をお願いいたします。
天野 理(ふれあい江東ユニオン・東京労働安全衛生センター分会)