公開学習会
3月12日、カメリアプラザにおいて下町ユニオン春闘の一環としての公開学集会が行われた。
講師に後藤道夫さん(都留文科大学教授)をお迎えして、「貧困と格差社会からの脱却に向けて」というテーマで、政権交代から半年あまり、今後、必要とされる労働社会政策と労働運動の果たす役割などを講演していただいた。
1990年代に日本型雇用が崩壊し、2001年より始まった小泉構造改革により半年の間に100万の非正規労働者が生み出された。この時の反発のなさが、経営側に力を与えてしまった。
現在の深刻な貧困率の要因として、①雇用保険給付なしの増大。②フルタイムで生活を支えている非正規の増大。③30~59歳の年収300万未満の低処遇男性正規社員の増大。④若年層の雇用の底抜け、つまり15~24歳の非在学・非正規・無業比率の急増。
このままでは、労働力の質の低下、大企業は海外に労働力を求めていくということになる。
この10年あまり、ワーキングプア世帯、子育て世帯中心の貧困率が拡大している。
にもかかわらず、政府発表の貧困率はこの数年変化はないとしている。
勤労世帯を支える社会制度の極度なお粗末さ。
医療保険未加入で医者にいけない人の増加、さらに生活保護基準が救済基準になっていない。
公的社会支出、教育費支出がOECD諸国の中で、日本は最低ランクである。
高度成長のときは、大企業の成長目標を中心に各利益団体を間に置いた「間接的支援」でそれなりに成功してきていたし、自分たちもがんばってきた。
しかし、「日本は福祉国家ではない」ということが思い知らされた10年である。
所得保障、社会保障サービス、住宅等の生活基盤の提供および支援の充実をはかるべき。
また、小・中・高の学校教育、医療、障害者福祉サービス、高齢者介護等の選択の余地のない基礎的社会サービスは無料にすべきである。
では、費用はどこから?
大企業への減免税見直し、企業の社会保険料、高額所得者への課税、応能負担の租税、等々。
社会保障充実には税金を払うのは当然である。大企業には環境汚染などの社会的費用を払わす。
最後に、
労働組合運動への期待 ~強くなる~
労使の力のバランスの崩壊が諸悪の根源。非正規・低処遇正規を中心に賃金の大幅底上げ運動を拡大し、派遣法の本格的改正の運動の展開、大企業に対する雇用拡大・維持の社会的キャンペーン等が必要。
人一人食べれないような最低賃金、生活保護を下回る最低賃金は絶対におかしい。賃金の底上げを本気で闘うべきである。
とにかく、労働組合は「強くなる」ことに尽きる。と、言い切った。
「強くなる」簡単のようで難しい。ユニオンの存在をもっと広く知らしめることも大事であるが、組合員が組合員としての自覚を持ち、ユニオンを強くしていくことが大事であろう。