均等待遇ルールを職場に生かそう

下町ユニオンニュース 2021年4月号より

 四月から、パートや有期雇用で働く人と正社員との、待遇における差別や格差の改善を目的とした「パートタイム・有期雇用労働法」が、中小・零細企業も含めて、すべての事業所が守らなければならない法律となります。この新たなルールを職場のとりくみにいかそうと、三月十九日、江東区労働組合連絡会・亀戸労働相談情報センター共催による公開労働講座「均等待遇ルールと職場実践」を開催しました。日本労働弁護団の中村優介弁護士に講師としてお話し頂きました。

◆どんな法律なのか?この法律はどんな働き方でも「納得が得られる待遇が受けられ」るようにすることを理念に掲げ、正社員と比べて不合理な待遇や差別的な取り扱いを禁止しています。「待遇」には、賃金や休暇、安全衛生、解雇など、雇用に関わるすべてのことが含まれます。

公開講座 均等待遇ルールの課題と職場実践について 中村優介弁護士

◆どこに着目するのか?
 不合理なのでは?と判断する時に着目するのは「責任の程度」「職務の内容」「配置の変更の範囲」などです。ただし「その他の事情」という、何でもアリの項目も入っています。また、差別的取り扱いかどうかを判断する時には、「職務の同一性(仕事の内容と責任の程度)」と、待遇の違いの原因が「短時間や有期であることを理由としているかどうか」ということ。直接の理由として「パートだから」「有期雇用だから」ということは少なく、他の理由付けが多いため、この二番目の大きなハードルを越えるのが大変むずかしいのです、とのお話でした。ただし、この法律を根拠に、待遇の違いの理由について、会社に説明を求めることはできるようになります。

◆格差是正をめぐる裁判の動き 昨年十月には、格差の是正をめぐる最高裁の判決が相次いで出されました。「大阪医科薬科大学事件」では賞与等、「メトロコマース」事件では退職金等が主な焦点となり争われ、これらの権利が高裁では認められたものの、最高裁では残念ながら逆転して覆されました。一方、東京・大阪・佐賀の三ヶ所でたたかわれてきた「日本郵便」では、年末年始の勤務手当・祝日給・住宅手当など諸手当のほか、夏期冬期休暇や病気休暇などの待遇面でも成果がかちとられています。

★感想★
実現のためには越えなければならないハードルがずいぶん高いのだな、という印象も受けましたが、何といっても、均等待遇をすべての事業所に義務付けた意義はやはり大きいと思いました。参加された皆さんからは自分の働き方への影響や新たなルールの可能性などについて活発な質疑が出されました。それぞれの職場につながる学習会になったのではないでしょうか。(M)