『コロナ禍で、いま労働現場は』

下町ユニオンニュース 2021年1月号より
 12月10日、亀戸文化センターにおいて、東洋経済・調査報道部長の風間直樹さんを講師に、下町ユニオンの公開労働講座を開催しました。
 以下、要旨と感想です。
公開労働講座
●異次元「コロナ切り」の衝撃
コロナで雇用関連の相談が激増している。その内容は、①会社が十分な対策をとってくれない、②仕事がなく休業、または解雇・雇い止めされた、の2つの種類がある。
事例1 ◆集団感染した病院で自分も家族も感染した看護師◆  感染者に対応しているにもかかわらずマスクと手袋だけの自分たちが「感染しないはずはないと思っていた」という看護師の言葉には、大きな衝撃を受けた。また、職場で感染したために休んでも欠勤扱いされるなど、当初は労災と認めない病院側のやり方が通っていた。
事例2 ◆密な職場で休んだら雇い止め◆  一室に二十名以上が至近距離で働くコールセンター。自衛のため休暇をとると「契約更新はできない」と言われた。
事例3 ◆配達員は「個人事業主」?◆  
ウーバーイーツの配達員は「個人事業主」扱いされ消毒液やマスクは配達員まかせ。ウーバーイーツ本体は「マッチングを行うだけ」との考え方。配達員の安全策が確保されず、労災の対象外になってしまう現状は明らかにおかしい。また人数が増え続け、日収も以前の3分の1ほどに激減している。こうした、形ばかりの「個人事業主」を労働者として認めるかは雇用問題の「一丁目一番地」の最重要な課題だと思うが、規制する法もなく司法も関心が低い現状にある。
事例4 ◆レッスン休止でも非正規は休業保障なし?◆  ある大手スポーツジムでは、緊急事態宣言によりレッスン休止。しかし会社は「緊急事態宣言の要請による施設の使用停止だから、会社には休業手当の支払い義務はない」の一点張りで、雇用調整助成金を、非正規社員には払おうとしなかった。同様の主張をしている会社はとても多い。しかし労組に加入し交渉したところ、アルバイト全員への休業手当の支給を獲得できた。
●女性と非正社員を直撃する、コロナ不況の深刻な実態
コロナによる影響の特徴は「休業者」の激増、また相談の六割が女性、七割が非正規。休業者は過去最多で、全就業者の一割が休業中。リーマン・ショック時の二%と比べても、とても多い。職場に戻れてもシフトの大幅減が多く、「雇用がつながっている」と言えるのか、疑問。実態は統計に表れているものより、もっと深刻だろう。
《感想》 感染予防と雇用維持が必要なのに政府も多くの会社も見て見ぬふりでいることに憤りを感じます。支援が必要な人に労組がつながっていくことが課題と思いました。 (M)