あらゆる非正規差別を許さない! 全国一斉ホットライン

コミュニティ・ユニオン全国ネットは非正規労働者に関わる2件の最高裁判決を受けて、以下の日程で全国一斉に『あらゆる非正規差別を許さない! シフトカット、雇い止め、賃金など全国一斉ホットライン』を行います。

12月11日(金)~12日(土)10時~19時 

TEL:03-3638-3369

1 最高裁判所の判断を活用しよう

10 月 15 日、日本郵便の正社員と契約社員の待遇格差の是非が争われた裁判で、最高裁判
所が判決を出しました。契約社員に扶養手当(いわゆる家族手当)、住居手当、年末年始手当
を支給しないことや、病気休暇や夏期冬期休暇を無給とするのは不合理だとしました。非常
に画期的な判決です。「そんな手当はうちにはない」。本当にそうでしょうか。実は職場にそ
うした手当があることすら知らないパートや契約社員の方が少なくないのです。まずは調べ
てみましょう。
10 月 13 日、大阪医科薬科大の元アルバイトの女性が賞与の支払いを求めていた裁判で、
最高裁判所は支払いを命じた大阪高裁判決を取り消して、不合理とは言えないとしました。
東京メトロ子会社の契約社員の退職金についても、一定の支払いを命じた東京高裁判決を取
り消して、不合理とは言えないとしました。しかしながら、これは正社員との仕事に差があ
ることを理由にしています。一人の裁判官は仕事に違いがないから払うべきだという反対意
見を付けたのです。どんな非正規でも賞与や退職金を払わなくてもよいとしたものではあり
ません。実際一定の賞与を支払うようになった会社も増えてきています。とにかく仕事の中
身を検討しましょう
言うまでもありませんが、裁判所の判例はそのまま法律になるわけではありません。賃金
差別の解消は会社に要求して初めて実現するのです。


2 労働組合の役割は重要

上記の非正規裁判で、原告や弁護士のみなさんが頑張ったことは言うまでもありません。
それに加えてすべての訴訟で、労働組合が支援をしてきました。非正規労働者が労働条件に
疑問を感じても、訴訟や会社への要求はおろか、正社員の条件との格差を調べることすら、
こわくてできない人がほとんどではないでしょうか。就業規則を置いていない、置いていて
も持ち出し・コピー禁止という会社は少なくありません。基本的な事実を調べる段階から、
いざとなれば会社と対等な立場で交渉ができる労働組合の役割は重要です。
残念ながら労働組合の推定組織率は下がりっぱなしで、昨年も過去最低の 16.7%、パート
はその半分の 8.1%でした。労働相談から組織化に取り組み、非正規労働者が一人でも入れる、
経験豊富なユニオンの出番です。まずはご相談ください。


3 コロナ禍でも明らかになった非正規差別

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、正社員と非正規の差別がますます明らかになり
ました。最もわかりやすいのは、正社員は全く賃金カットされない職場で、非正規はシフト
が組まれていないという理由で一切の休業手当が支払われなかったという問題でしょう。解
雇されないけれども収入は激減、解雇されて失業手当をもらった方がよかったと言う人もい
ます。これからは突然の契約解除、雇い止め解雇が増加していくでしょう。
公的制度による支援ももちろん必要ですが、労働組合に加入して会社と交渉すれば道は開
けます。退職勧奨を止めさせたり、制度になり退職金を払わせたりするなどの成果も上がっ
ています。あきらめないで、まずは仲間と一緒に相談してください。

4 正社員の賃金や雇用も危ない

最高裁判決を受けて、非正規差別を解消する企業が出始める一方で、正社員の諸手当をな
くす、賞与や退職金制度を改悪しようという動きがあります。差別と言われないように、低
い方に合わせようという姑息なやり方です。経営者の多くは、ジョブ型雇用、多様な働き方
などと称して、結局のところ、労働者やその家族の生活など全く考慮しません。
新聞のサラリーマン川柳に、「出来る人 昔残業 今休暇」というのがありました。ワーク
ライフバランスが可能で賃金水準が高い一部の専門職や希少な能力を持っている場合は、転
職も容易で「同一労働同一賃金」が実現しているかもしれません。コロナ禍でもテレワーク
が容易で、むしろ能率が上がったような仕事です。現実にはそのような仕事や労働者は一部
に限られていることが明らかになりました。長時間労働、遠距離通勤や単身赴任も厭わなか
った正社員の賃金や雇用すら脅かされる時代です。正社員も、非正規と共に闘うことが必要
不可欠になっています。