08年11月号より 今こそ労働者派遣法の抜本的改正を勝取ろう!

今こそ労働者派遣法の抜本的改正を勝取ろう!!
労働者派遣法改正法案の今国会上程に向けての動きが急ピッチで進んでいる。7月28日、厚生労働省の有識者研究会「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が報告書を提出。これを受けて厚労省は労働政策審議会を再開し、9月24日に見直し議論をとりまとめ建議した。10月24日、厚労省は労働者派遣法改正法案要綱を労働政策審議会に諮問し、答申・決定へと拙速な審議日程を予定している。マスコミ報道では政府・与党は早ければ11月上旬にも国会へ法案提出をする方針を固めたとされている。
「名ばかり改正」、実際は改悪法案!
法案要綱の問題点
 法案要綱は、①日雇い派遣の原則禁止として30日以内の雇用を定めての派遣を禁止にするとしているが、一ヶ月雇用という不安定さは変わらないばかりか、派遣契約そのものは規制していないので日替わりのスポット派遣は可能であること。また政令で定めた業務は認めるとして例外を作っている。②低賃金・不安定雇用の問題となっている登録型派遣への規制がない③マージン率規制はされず、公開も個々の契約ごとではなく派遣会社の全体の一般的な公開となっている④リストラの手法となっている「もっぱら派遣」についてもグループ内企業への派遣労働者を8割以下は認めてしまっている。⑤偽装請負や違法派遣での労働者の保護と派遣先の雇用責任を明確にするために必要な直接雇用義務=「みなし雇用」の規定がなく、偽装請負の派遣先に行政が直接雇用の勧告にとどめている⑥派遣労働者への差別禁止や均等待遇についても一部分について努力義務を明記しただけ等、これではどこが派遣労働者の保護のために規制強化策なのかわからない。とても実効あるものとは言えない。
それどころか、期間の定めのない常用型派遣労働者については、①派遣先による「事前面接」を認める。②直接雇用申し込み義務を除外する。として現行法の改悪を入れた。これらは経営者団体がこれまで再三にわたり要求してきたものである。「事前面接」はいうまでもなく派遣先による個々の労働者の特定・選別であり採用行為である。これは「スキル」を売るという労働者派遣法の枠組みの根本を変えるものである。また「直接雇用の申込み」の除外は常用代替防止と臨時的一時的需給システムとしての派遣労働の位置づけを変えてしまうものである。
見せかけの「改正」にだまされない!
派遣労働者の権利保護を!
労働者派遣法の抜本改正を実現するぞ!

現実に置かれている派遣労働者の権利保護策として今求めらているのは「細切れ契約」で雇用不安と低賃金となっている登録型派遣の原則禁止であり、対象業務の自由化で、「何でも派遣」の現状を変え、派遣法の立法趣旨に立ち返り専門業種に再度限定すべきである。
そしてこれまで違法派遣や偽装請負など「労働ダンピング」で儲けてきた大企業、コストダウンで勝手気ままに派遣労働者を安く使い捨てにしてきた派遣先企業の使用者責任・雇用責任を明確にすることである。
一昨年に過労死促進法=「ホワイトカラーエグゼンプション」を潰したように様々な労働組合や団体、個人が集まり、労働者の権利保護にたった本当の改正、労働者派遣法の抜本的改正実現に向けて行動が呼びかけられている。すでに12月4日の全国集会に向けて実行委員会も開かれた。11月13日はその立ち上げ集会が開催される。
 この間、新自由主義な政策が続けられ、労働分野でも「規制緩和」として派遣法が改悪されてきた。雇用が劣化し、人間が「使い捨て」にされ、マネーゲームの中で、貧困と格差が拡大し社会の荒廃が進んだ。今や世界的な金融不安の中で大恐慌の危機が取りざたされている。現実の社会を作っている「労働」をないがしろにし、労働から尊厳を奪い、人間を使い棄てにする社会に未来はない。この行き詰まった社会を持続可能な社会へと転換しようとするならば、その一つとして労働に尊厳を取り戻すことだ。そのためにも派遣労働の見直しは必要なことだ。派遣法の抜本改正はまずはその第一歩だ。
労働者派遣法の抜本的改正を全国の仲間とともに勝取ろう!
11月13日 実行委員会結成集会 
総評会館 6時半
12月4日 労働者派遣法の抜本改正をめざす全国集会 (予定) 日比谷野外音楽堂 
6時半